忘れていた記憶

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電話の相手は最寄りの警察からだった。 警察、という言葉に私の身体からは力が抜け、その場に座り込んでしまった。 やっぱり那智の身に何かあったんだ。 やっぱり那智は…… 取り乱す私に電話の向こうの警察は落ち着くよう促し、そして用件を告げた。 「え?駆け落ち!?」 想いもよらない言葉に私は思わず声を荒げてしまった。 だって那智はまだ小学5年生で…… 駆け落ちするにしては幼すぎて…… 何より私を置いていくなんて話を訊いても信じられなかった。 とにかく署の方に来てほしいという警察の言葉に私は慌ててアパートを出て警察へと急いだ。 私を待っていたのは警察と、そしてあと2人。 那智と一緒に駆け落ちをしたという女の子と両親だった。 きっと向こうもかなり心配しているんだろうと思い、案内された部屋へと急いだ。 そして私はそこで思いもよらない相手と再会することとなってしまった。 .
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