第2話

2/14
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 それから一週間くらい後のこと。  不思議な少年Aとあたしは肩を並べて歩いていた。実際は平均女性より長身なあたしの肩が上に出ている。あたしはそれをコンプレックスに感じたことはない。だが、隣りの少年にはおもしろくないのかもしれない。ちらちらと肩の高さを目で比べている。 「気にすることではない。アンタはまだこれから伸びるんだから」 「そんなんじゃない!だいたい……」  少年の言葉は続いた。頭をなでてからかってやろうとしたのに叶わなかった。 「だいたい何で白衣着てんだ?普通もっと気を使うもんじゃないの?」  確かにこれからの行動がカウンセリングならば、接しやすくするための服装を選ばなければならないだろう。しかし、そんなつもりはなかった。 「何で気を使わなくちゃならんのだ。アンタも学生服とか着たら?そしたら先生と生徒の構図になるぞ」  今の構図は姉弟だろうか。 「こんな先生がいたらすぐクビになるよ」  反撃しなくてはならない失礼な台詞を、あたしはもっともだと受け入れる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!