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「ああ……そういうの、程度はあるけど、妄想恋愛って言うんだよ」
「モーソー恋愛?」
「相手の気持ちなんて考えずに、その子の中だけで盛り上がっちゃってるんだよ。大人になってそれをやっちゃう人は、ストーカーになりかねないから、涼太くんはそんなことのないようにね」
「ストーカー! やらないよ、そんなこと!」
再びバットを肩に担ぐと、涼太くんはううん、と考え込んだ。そして、はっと俺を見上げる。
「なあ、けど相手の気持ちってどうやって考えるの? 好きだって言うこと自体キモがられたりしたら、悲しくない?」
「……要するに、その子のこと、怖いだけじゃなくて気持ち悪いわけだ」
俺が苦笑すると、涼太くんはあ、と口を押さえた。
言っていいことと悪いことの区別がつき始めている涼太くんに、感心させられてしまった。
この年頃にしてはやっぱり頭がいい……何か俺、負けそう。
「そうだなー……相手の気持ちを考えよう、っていう気があるなら、もうそれで充分な気はするんだけど。ひとつだけ、すぐにでもできることは……相手のことを、自分と同じくらい大事に考えること、かな」
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