満月の夜

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満月の夜、ぬるぬるした気持ちの悪い空気が学園を覆い尽くしていた。 リムジンで4人が到着する。 「寮の方が怪しいな、二班に分かれよう。ボクとあげはと黒兎は1階から十六夜と白兎は5階から見ていってくれ」 やっぱり俺とは仕事したくないのか等と考えてしまう・・・仕方ない事なのに。 一気に魔物が外に飛び出してくる可能性があるから白兎は寮全体に結界を張る。 一番妖しい部屋から見回る。 暗くて、普段から使われそうじゃない所に陰の気が溜まる・・・それを餌として魍魎が集まってくものだ。ある程度大きくなると今度は人間の悪気を餌として大きくなると厄介になってくる。 確かにこの倉庫に陰の気はあったが魍魎はいなかった。 風を通し空気を入れ替えてやると溜まった『陰』の気が放たれて魍魎は溜まらない。 次はトイレ。ここも溜まりやすい箇所だが、掃除が行き届いていて気配すらなかった。掃除をしないとあっという間に魔物の巣になる。幽霊が出やすいのもそんな理由だ。 5階で陰の気が溜まっているのを発見する。出処を探っていると部屋のドアから漏れ出ている、ここだ。【3年 有田】と書いてあった。 白兎と顔を見合わせ目くばせする。 「ドアを叩いて『有田』がいるか確かめる。悪魔が取り付いてたら生け捕りにするぞ・・・縛り頼む」 「十六夜クン、任しといて」 こんな時でもチャラいが肩の力が抜けていい具合かもしれない。 コンコンコン!ちょっと強めにドアをたたく。 「有田さん?いますか?」 「なんだよ。こんな時間に・・・」 出てきた有田の左肩には魔物が取り憑いていた。 顔を見ると、こないだ一年生に虐めていた仲間の一人だ。 やっぱり憑いてやがったか!
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