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取引先との打ち合わせを終えた帰り、吉岡さんの運転する社用車に揺られて、お昼時のオフィス街を走る。
海外営業部とは言っても、国内に支社がある会社もあるから、外回りだってしなきゃいけない。
右手でハンドルを操りながら、左手でおもむろにネクタイを緩める姿が妙に色っぽい。
仕事中とは少し変わった雰囲気にドキドキしてしまう。
商談中の吉岡さんはきりっとしていて凄くカッコよくて、結局私はついて行っただけで何にも役に立たなかった。
でも役に立たなくたって、お腹は空く。
朝寝坊をしたお陰で牛乳1杯しか飲んでいないから、もうすぐお腹が鳴りそう。
空腹を誤魔化すようにお腹を擦っていると、それを察してくれたのか、
「腹減ったな。何か食ってから帰るか」
「はい」
運転中の吉岡さんが道沿いの可愛らしいお店に車を止めた。
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