彼と彼女の真実

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『俺がついてるから』その言葉がどんなに私を励ましてくれたかしれない。 駆け出しモデルの努力なんて、一流モデルの前では役に立たず、頼みの綱のマネージャーは一緒になって緊張して使い物にならなかった。 晃にお礼を言って、これからも会えるように連絡先を聞かなきゃ。 そう決めて帰り支度をし終わった頃には晃の姿はなかった。 「あれ? 男性モデル1人足りないんだけど、どこ行ったか知らない?」 「さぁ、最後のミーティングには全員いましたけど」 スタッフの人が誰かを探している横を通り過ぎて晃を探す。 「晃、どこ?」 片付けに追われるスタッフの間をすり抜けて走り回っても、どこにも晃を見つけることは出来ない。 「リナ、いったん事務所に戻るから早く車に乗って」 「あ、ねぇ、私のパートナーだった男の人誰? 晃って名前しかわからないの。後でいいから絶対に調べて」 時計を見ながら忙しそうにしているマネージャーに、半ば引き摺られるようにして会場を後にした。 .
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