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「それにしても可愛いなぁ……木綿の彼女」
「はは、森先輩飲みすぎっすよ」
目の前に広がる光景に、苦笑いをしながら酌をする私。
まさか木綿先輩が、去年卒業した先輩と同居しているとは初耳だった。
そして今は、私と木綿先輩、森先輩、森先輩の彼女の海(ウミ)さんと4人で飲んでいる。
「お世辞を言っても、何もでませんよ?」
酔っ払った木綿先輩が、顔を赤くしながらそう言う。
“お世辞”その言葉が胸に棘を刺す。
木綿先輩と付き合って、最近分かったことがある。
木綿先輩は酒癖が悪い。
4人で飲んでも、動くのは女だ。
無くなったお酒を取りに行くのも、おつまみを作るのも、それから買い出しも……全てにおいてだ。
気楽にゆっくり寛げない。
私はキッチンを空き缶が占領していくのを目にしながら、ため息を一つ吐いた。
――――――……
「男なんて、しょうもない生き物よ。だから我慢も必要だし、自分の女を自慢したがるのよ」
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