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「正っ!」
授業が終わって、荷物を鞄に詰めていると慎吾が声をかけてきた
ニコニコ笑顔で近寄ってくる慎吾
その笑顔につられるように、俺も笑った
「やっぱり、俺…御前居ないと駄目だわ、はは!」
慎吾の言葉に頭がぐわん、と揺れた
何、俺、浮かれていいの
単純だけど、慎吾の言葉にどうしようもない衝撃を受けた
変わらない笑顔を向けてくる慎吾に、一パーセントの可能性を感じた
もしかしたら、慎吾も、俺の事
「御前が居なかったらさ…」
「慎吾…俺、ずっと」
「俺、愛実ちゃんと付き合えなかったしね。」
その時ばかりは、死にたくなった
最初っから、そんな淡い期待抱いていた俺が悪い
慎吾は普通に女の子が好きで、俺が異常だったんだ
俺が、どうしようもなく慎吾が好きだっただけで
叶う筈が無かった
そんな事、分かってたろ
分かって、受け入れる準備もしっかりしてたのに
たった一時で、それも不安定に揺れて、勝手に期待して、勝手に壊された
「はは、でも、御前に頼りすぎるのも良くないよな!これからは、彼女と一緒に乗り越えて行きます!」
その笑顔が幸せそうで
その笑顔に性懲りもなく見惚れて、俺では絶対作れなかった表情って事が分かった
自分が、醜い
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