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「…付き合ったのか。」
「へへーん、ダメ元で告白したらねえ…俺のファーストキスを捧げる日も近いぜい?」
おめでとう
これまでにない幸福顔の此奴に、贈ってやらないといけない言葉
でも、口からは出てこない
出したくない
認めたくない
「結婚式には呼んでやるよ!ハハハ。」
泣きそうだ
慎吾が、女の子と結ばれて幸せな家庭を築いて、子供も生まれて?
俺の事も、すっかり忘れ去るんだろ?
俺は、いつまでも幸せな男の事を思って、ずっと苦しんで生きていくのか?
俺の頭の中がそんな考えで一杯になって
慎吾の笑顔見てるだけで泣きそうになって
「じゃあ、愛実ちゃんとこ行くね。」
――慎吾にはもう手が届かない
ぐいっ、
「ただ…っ。」
慎吾の唇に、自分の唇を押し当てる
慎吾は、目を見開いた
もう、諦めるから
だから、少しは俺の事で苦しめよ
「御前の事、好きだった。」
これが、俺の最後の悪あがき
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