懐の中の綻び

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ガラスのように壊れやすい高貴な皇子の心を壊した出来事。 聖太郎氏が息子を姦淫したと聞いたが・・・。 さっきのアルバム・・・。有栖の母の事、柚木家の事、七夜の事が分かるかもしれない。ロープを上って元の屋根裏部屋に戻った。 よくみると古いものから新しいものまで整理整頓されてアルバムが立ててある。 まず七夜に夜出かける旨を伝えて、そこらへんにあるパンなどを袋に詰め、ランプをもって屋根裏に向かった。中から鍵をかけて真ん中に敷きものを引いて陣地を作り、アルバムを古い順から手にとって見ることにした。 アルバムは明治時代から。写真は色あせてしまっているがかかれた文字はかろうじて見える。 写真の珍しい時代だから家族の記念の時に撮ったものだろう。 これが例の和宮さまの人型に魂を宿した人か・・・そして隣が柚木家の4代前当主。小さい赤ん坊が先々代か」 「屋敷は今のままだな・・・使用人の中に胡蝶がいる。この頃から柚木家と関わりがあるのか」 書き込みがある・・・『宮中三殿の浄階の職を賜る』とある。神職の最高位に就いたことを記念する写真のようだ。 先々代が制服を着ている写真には母宮の姿はない。自殺したと言っていたが・・・。 その次は先々代が青森の最上級のイタコだと言った。イタコは死霊の言葉を現世の人間に伝えるシャーマンだ。霊(マナ)を呼び寄せる『口寄せ』という技を持っている。 ここら辺から柚木家は死霊と交信する術を持つイタコ・と神と交信する力・斎(イツキ)を両方手に入れた。
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