一番熱い夏

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「ふふっ、嬉しいですけどね……」 決して抱きしめられたくないわけじゃない。 本当はもっと温もりを感じていたい。 だけどここは会社だし、海翔さんは専務だし、社員たちが沢山近くにいるし。 ソファーに力尽きたように体を投げ出した海翔さんは、浴衣の胸元が少しはだけて、気だるい表情に色気が駄々漏れ。 下手な女性より色っぽい。 「帰ったら覚悟しろよ」 「え?」 ニヤリと笑った海翔さんにガシッと腕を捕まれて、反論する間もなく部屋から連れ出された。 嬉しいやら恥ずかしいやら、慣れない下駄に気をつける振りをして、赤くなった頬を隠すように俯いて、引かれるまま車を目指して歩き出した。 .
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