第10章 未来へ

23/26
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
鈴音がそう言うと、俺はもうハンドルから手を離して、鈴音を抱きしめた。 鉄パイプで殴られた後頭部が、今頃ズキズキと痛んでくる。 「鈴音。いつも、お前が言うことは正しかった。俺は、甘かったよ。でも、鈴音のお陰で、幸せだった。そうだな。あとは、匠がうまくやってくれる。あのカルテロに致命傷を与えた男だ。あいつなら、きっとこの先カルテロが現れても、壊滅してくれる。瑠生と美衣も、1人じゃない。成長したムスメたちを見れないのは残念だけど。でも、ここでお前と死ねるならそれで本望だ」 「私も…だよ」 カルテロ一味の車と同時に、俺たちの車も、ニューヨーク湾に、ふわりと飛んだ。 俺と鈴音は、同時に唇を寄せて、俺はきつく鈴音を抱きしめた。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!