第1話 命懸けの任務

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私が婦人警官から刑事へと進んで行く中で、香織も私と同じ道を辿った。香織のほうが昔から頭もよくて、器量もいい。そして、香織はずっと同じ人と付き合っていたから、すぐに結婚するのかな、と思っていた。けれど、香織は笑って簡単に否定した。 「お姉ちゃん。私が頭がいいからって、エリートと付き合ってもいいことなんかないのよ。彼、頭がいいけど、私のことなんか好きじゃないの。はっきり言われたもん。だから私は結婚にはなんの興味もないわ。結婚よりも、もっと生き甲斐を見つけたいの。私はアメリカに行く。そこで、何か探すわ」 瞳をキラキラと輝かせて香織は言った。そんな言葉は、ただの強がりだって分かってる。本当は、すごく好きなくせに。2人の間に、何があったんだろう。 「何を探すの?」 「わからない。でも、ニューヨークに行けば、何か見つかるかもしれない」 「何かって、なによ」 さすがに私も呆れて溜め息交じりに尋ねた。香織は洋服をたたんでスーツケースに押し込みながら、ニッコリと笑った。 「きっと、ニューヨークには愛があるわ」
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