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《龍延 英雄との戦い》
龍延は十万機を率いて北上しており、現在は中原の入口である南稜の南に陣を構えていた。
南稜攻略は中原への足がかりであり、戦略上、重要な地域となる。
ここが不安定な状態で北上を続ければ《崔》からの補給路が常に危険な状態となってしまう。
しかし、簡単には攻め落せない。
十五年前に起こった大叛乱を治めた英雄の一人である優摂には人望があり、民や優秀な人材が集まってきている。
なかでも一騎当千と言われる最醒と牙遼という将軍は厄介だ。
龍延と稜周は陣幕にいた。
「稜周よ、優摂殿をどうにかして我が軍に引き入れる事はできないだろうか」
「無理でしょう。残念ですが、あの方は帝にしか仕えません」
「俺達に十五年前の大叛乱を治めた英雄と豪傑を討てるか?」
「やるしかないでしょう。優摂殿を討ち、天下に名を響かせるのです。もう世は変わったと」
「稜周は簡単に言うなあ。でも、俺が望んだ事か」
「そう。殿が望んだ事ですよ」
「優摂殿は大叛乱を治める事は出来たが、世を正しい方向へ導く事は出来なかった」
「悲しい事ではありますが」
そこへ斥候から情報が入った。
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