夢-2

12/37
846人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
それを聞いて、私は身体をそのままに、顔だけを悠哉へ向けた。 目が合うと、優しく頷いてくる。 「片桐からは何の連絡もきてなかった。それはつまり、無事に終えたということだ。お前が気にする必要はないよ」 それを聞きながら私もコクンと頷き、先に視線を外した。 再び背もたれを見つめながら、ホッと一息。 …そっかぁ。よかった。 …ん~…、でも…。 そして続ける。 「…それならいいんですけど……。あの、会長は、どう思われたでしょうね?」 大きく引っ掛かっていた疑問をぶつけてみる。 悠哉は、再び私の耳元へ。 「それも大丈夫。きっと、片桐がうまく話しているはずだ」 その言葉に、私は目をキュッとつぶった。 そうだといいんだけど…。 残る不安を胸にしたままおとなしくしていると、悠哉の身体が私の身体へ、優しく重なってくる。 そのぬくもりに、身を寄せてしまおうとした。 …が、次の瞬間。 悠哉が私から身体を、ガバッと思いっきり引き離していった。 …ん!? 何!? 不思議に思い、目を開けて視線を悠哉へ。 するとそこには、瞳を大きくして片眉をあげ、戸惑っているような表情が。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!