始めの一番

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米沢城で誕生したと言う伊達政宗に、近年館山城で誕生したのでは?との疑惑が浮上している。この事にどんな意味があるかというと、伊達家と最上家の間がより緊迫した緊張関係にあったのではないか?平城の米沢と違い急峻な館山城とその位置関係から、なんて事が想像できるのである。政宗は、まずは両家にとっても微妙な緊張関係緩和の為、是非とも産まれて来なければならなかった。 「だって順番から、行けばそう言う話が先だろう?まずはこっちでしょう?俺が辿る道順は、こっちが先なの!」 順番がどうとか理屈っぽいのは、おいおい説明するとして、政宗の登場以前の説明になるのは何故かと言うと伊達政宗なくして登場人物の登場が無いからである。つまり政宗が産まれ無いと出番が無い? 「是非とも無事な男子の出産願わなければ!」 そう思うと義姫のプレッシャーは絶大なものだったに違い無い。政宗は産まれるべくして産まれたのでは無く、是非とも産まれなければならなかった!そう言う事になる。 その目的を果たす為の祈祷を是非とも成功させなければならなかった。それは亀岡文殊だけのお話ではなかったのである。政宗が産まれる為に様々な祈祷をおこなって、一番いい結果と言うか縁起のいいお話が最上上人のお話だったから後の世迄残った? 「無事に産まれたら、それで良いなんていかねーんだな…でも、それとこれとどんな関係があるんだ?」 護法童子の絵の前で、坊さんの容をした何かが話かける。すると、赤い顔の護法童子は絵の中だと言うのにニヤッと独特な笑いを浮かべ 「後に同じ行動をする。戦国の覇者がいるだろう?まずはこっちを探るのが道理でしょう?」 覚えの悪い生徒を諭す宜しく笑ってみせた。 「戦国の覇者とは、豊臣秀吉の事だと言うのか?」 果心居士を製造する場合……伝説と物語の違いをどう処理するのか等々、複雑な論理を組み立てる前に相手が墓穴を掘った?戦国の覇者が秀吉でも、継ぐのは誰だって良いのでは?と考える者の存在など論外だったに違いない。 其所に愛情等存在しない。 秀吉の秀頼に対する愛情は、狂気にも似ていた。 間違いなく自分の子供だと言う証拠があったから。 護法は笑ったまま絵の中から消えていた。
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