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ここは空港で、
「……もう、他の人とキスなんてしちゃダメですから」
「うん、お酒に酔っててもしないよ」
彼らの両脇をスーツケースを持った通行人が通り過ぎる。
「……酔ってたんですか?」
「うん、手を引かれて気が付いたらキスしてた」
「馬鹿」
だから、そう言いながら彼の腕の中から逃れたのに。
「うん、馬鹿だね」
「……コーヒー、おごってください」
「もっと甘えてパフェでもいいよ?」
「じゃ、ケーキセットで」
「やっぱり美穂はツンデレだ」
「はい?」
見上げる彼女に、凌はいつもと同じように微笑む。
手はしっかりと繋いで、
「ねぇ、美穂」
そして、
「キス、しようか?」
「はっ? んっ!!」
いつもと変わらないキスを。
彼女とのキスはいつだって甘くて柔らかくて、
ほんの少し、しょっぱい。
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