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シュンの元いた世界ー
一人の少年が街中を疾走していた。息を切らしながらも必死に走る。まるで何かに追われているかのようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ。大丈夫か?」
少年はー恐らく3歳は離れているー少女の手を引きながら問う。少女は一瞬迷った顔をするが口元をきゅっと結び。頷く。
「よし。もう少しだ。この街さえ出れば、あいつらも追ってこれない!もう少しだけ頑張ってくれ。」
「うん。」
二人は全力で走る。その後ろから黒い影がかなりのスピードで追いかける。明らかに人間ではない。顔は黒い山羊の様で体毛全てが黒で統一されている。背中には蝙蝠の羽根があり、悪魔と言うのに相応しい姿だ。
「くそ!流石に速い!
「お兄ちゃん・・・。」
「大丈夫だ!兄ちゃんがついてるからな!」
少年は折れそうになる心を必死に奮い起たせ少女を勇気づける。
この世界が変わったのはシュンが異世界に渡って1週間経った頃だ。時空が歪み今二人を追いかけている化け物により中心の街は全て制圧され、重大な食料不足に陥っていた。少年と少女は無謀にも化け物が闊歩する街に侵入し食料を強奪したのだ。その帰り道、先客がいたらしく化け物の食事となった光景を見てしまい少女は軽く悲鳴をあげた。恐るべき聴覚でそれを聞き取り二人は追われる立場となってしまった。
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