◇◇ 第12章 彼の誕生日 ◇◇

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「食べようか?」 急にお腹のすいてきたあたしも、コクりと頷いた。 冷静になって和也さんが持ってきたものを見渡す。 あれっ?会社のカバンと出張用のスーツ入れが置いてある。 「今晩泊まるから」 和也さんは、サラリと言った。 「えっ……ここに?」 「そうだよ。大切な人と朝まで一緒にいたいからね」 またまた、びっくりするくらい甘いことを、サラリと言ってのけちゃうんだから! 聞いてるこっちが赤くなっちゃうよ。 あたしの気持ちを読みとったのか? 「俺……今日、誕生日だから」 と、願い事は何でも叶うだろ!みたいに いたずらっ子みたいにニッと笑った。 ……かわいい。 かわいい!? 違う……違う! 和也さんは、明らかにあたしが動揺する姿を見て楽しんでいた。
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