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課長の額には、くっきりとした青筋が浮かんでいて、かなり怒り心頭なご様子。
「意味分かんねー事言ってないで、さっさと開けろ」
「嫌です!」
互いに一歩も引かない攻防戦が繰り広げられ、体力と気力が消耗しかかった時
「チョコが欲しかったら開けろや」
課長が紙袋の中の品をちらつかせ、魅惑的な言葉を述べた。
「えっ…チョコ、ですか?」
つい、声が上擦ってしまった。
そして、課長の手元に釘付け状態になる。
彼の持つ紙袋から、ちら見せされたのは、大好物の赤い箱のチョコ。
「まさか、手土産持参して訪問した上司を玄関先で追い返す気じゃねーだろうな?」
わざとガサガサと音を立ててみせる課長。
……な、何かいっぱい入っていそう…
ゴクリと生唾を飲み込んだ私は、そそくさとチェーンを外し「どうぞ、むさ苦しい所ですが」と、課長を部屋に招いた。
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