《10》

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課長の額には、くっきりとした青筋が浮かんでいて、かなり怒り心頭なご様子。 「意味分かんねー事言ってないで、さっさと開けろ」 「嫌です!」 互いに一歩も引かない攻防戦が繰り広げられ、体力と気力が消耗しかかった時 「チョコが欲しかったら開けろや」 課長が紙袋の中の品をちらつかせ、魅惑的な言葉を述べた。 「えっ…チョコ、ですか?」 つい、声が上擦ってしまった。 そして、課長の手元に釘付け状態になる。 彼の持つ紙袋から、ちら見せされたのは、大好物の赤い箱のチョコ。 「まさか、手土産持参して訪問した上司を玄関先で追い返す気じゃねーだろうな?」 わざとガサガサと音を立ててみせる課長。 ……な、何かいっぱい入っていそう… ゴクリと生唾を飲み込んだ私は、そそくさとチェーンを外し「どうぞ、むさ苦しい所ですが」と、課長を部屋に招いた。
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