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「男なんか居ねーじゃねーか」
人の部屋に上がり込むなり、室内を見回す無礼な課長。
「電源、普通についたけど?」
更には勝手に人の携帯を操作し出すという、プライバシー一切無視の悪行に出る。
「……勝手に、私物に触れないで頂けませんか?」
キッチンからお茶を運び、当たり前のように座椅子に陣取る課長の前に置いた。
「俺のデータ、登録しといてやったから」
「頼んでませんけど…」
「仕事で困った時とか、プライベートで会いたくなった時……いつでも連絡しろよ?」
得意気にニヤリと笑う課長に、冷たく「仕事以外では電話致しません」と返して、腰を下ろす。
いざという時に、課長の番号を知っていれば便利だけれど、そのいざという時が一生来なければいいのに……と思う。
「どうして私の番号を知っているのですか?」
「あ?課長代理してくれてた山路さんから、仕事を引き継ぐ時に、お前の履歴書のコピーも渡されたからな。それに番号載ってたし」
「あ……そうですか」
上司だから仕方がないけれど、課長に番号を知られているのが、何となく嫌だったりする。
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