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……いつも、そう。
あたしが元気を無くしている時に、タイミングよく現れて、訳も聞かずに元気づけてくれる。
優輝さんのさりげない優しさに、あたしはいつも救われている。
あたしは、笑っている優輝さんを見て、感謝の気持ちを呟いた。
「なんだか、いつも助けていただいて、ありがとうございます」
あれっ、この言葉……前にも一度言った気がする。
次の瞬間……
あたしの中に眠っていた記憶が一気に溢れだした。
あっ!?
橘さんに飲まされた時、すっと隣に現れた優輝さんが、コップ一杯の日本酒を、いとも簡単に、あっさりと飲み干し、あたしを見て「大丈夫か?」って。とても優しい顔して言った。
その後、あたしは、優輝さんに抱きしめられて……
そこまでの記憶が、一気に甦った。
「忘れたままでよかったのに」
目を見開いたまま固まったあたしを見た優輝さんが、察したように声をかけた。
社長が言ってた、もうひとりのナイトって……
「優輝さん、だったんですね」
驚くあたしに、優輝さんは微笑みを返した。
「お待たせしました~」
言葉を交わすのを遮るように、出来上がったランチが運ばれてきた。
「わぁ、璃子うまそうだな」
優輝さんは、話題を変えた。
「ええ。本当に」
あたしは、続きの言葉を飲み込んだ。
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