1653人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
『璃子、お仕えする相手に、寄り添うように観察して、璃子自身もしっかり仕事を習得するようにね』
和也さんが、秘書室に勤務する前に話してくれた言葉が甦った。
はい。松本専務、心得ております。
気づけば、次々に思い出される和也さんとの想い出と会話をしていた。
「和也さん……今日は、たくさん貴方を思い出したんだよ。
いつでも、どんな時でも、貴方はあたしの心の中に居て、あたしを成長させてくれている。
和也さんを忘れるなんて……無理だよね」
ポツリと口から素直な気持ちが溢れ落ちた。
『忘れられるはずないだろ?』
って、表情の和也さんの顔が浮かんだ。
「また尊敬したし……どんどん好きになってるよ。
ずっと和也さんを応援してるからね。
ずっと……想ってるからね……」
会社を辞め、いろいろなシガラミから解放され、そして出会ったこのお屋敷の自然の空気と雰囲気は、あたしの心を、とてもシンプルにしていた。
あたしの中で生まれた小さな火は、本当に小さくだったが、あたしの心を動かしはじめ、自然と温もりのある言葉を溢れさせていた。
最初のコメントを投稿しよう!