◇◇ 第40章 新たな一歩 ◇◇

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『璃子、お仕えする相手に、寄り添うように観察して、璃子自身もしっかり仕事を習得するようにね』 和也さんが、秘書室に勤務する前に話してくれた言葉が甦った。 はい。松本専務、心得ております。 気づけば、次々に思い出される和也さんとの想い出と会話をしていた。 「和也さん……今日は、たくさん貴方を思い出したんだよ。 いつでも、どんな時でも、貴方はあたしの心の中に居て、あたしを成長させてくれている。 和也さんを忘れるなんて……無理だよね」 ポツリと口から素直な気持ちが溢れ落ちた。 『忘れられるはずないだろ?』 って、表情の和也さんの顔が浮かんだ。 「また尊敬したし……どんどん好きになってるよ。 ずっと和也さんを応援してるからね。 ずっと……想ってるからね……」 会社を辞め、いろいろなシガラミから解放され、そして出会ったこのお屋敷の自然の空気と雰囲気は、あたしの心を、とてもシンプルにしていた。 あたしの中で生まれた小さな火は、本当に小さくだったが、あたしの心を動かしはじめ、自然と温もりのある言葉を溢れさせていた。
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