mission7 超問題児のアイドルを説得せよ!?

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笹原さんから離れてって……意味がまったく分からん。 そもそもなぜ舞が俺と笹原さんが一緒に居ることを知っているんだろうか? 先ほど俺は舞に紹介したい人がいるとだけメールで送ったつもりなのだが、いつのまにか情報が伝わっており、電話の内容も到底理解できないものだ。 そんな俺の不自然な態度に笹原さんは心配した表情でこちらを見ており、俺は慌てて何事も無かったように平静を装った。 「い、いや。舞たちが少し来るのが遅れるらしいんですけど、それだけ告げて勝手に電話を切られたんです。本当に困ったものですよね」 渇いた笑いしか出来ない自分の演技力の無さに泣きそうになるが、笹原さんはホッと胸を撫で下ろしながら俺に可愛らしいハンカチを渡してくれた。 「私が押しかけたんですからいくらでも待ちますよ。上谷さんが急に汗をかいていたので、もっと大切な話をしたのかと思いましたけど……安心しました」 こんなにも他人を気遣える人に対し嘘をつくのはとても心が痛み、俺はグッと自分の中のもどかしさを堪えながらハンカチを笹原さんの手元へと返した。 「ありがとうございます。けどいつもの事なんで心配ないです。ハンカチは気持ちだけお借りしますので、綺麗なままにしておいてください」
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