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「華里奈…こっちへ」
皆をぐるりと見渡した後華里奈に手招きして横に立たせる。
「知っている方もいらっしゃるかとは思いますが、
彼女は当博物館3階のレストランにてウエイトレスをしている華里奈といいます」
フフッ…戸惑ってる戸惑ってる。
いきなり紹介されて困惑顔の華里奈を無視して再び言葉を紡いでいく。
「華里奈は僕の昔からの知り合いで…どんな時も僕の傍にいてくれました。
しばらくは会うことが出来なかったのですが、魔王討伐後に再会し、ウエイトレスとして僕のこの博物館を一緒に盛り上げてくれるようになりました。
勇者という職業柄人に弱味を見せることができない僕の、唯一の心の安らぎが彼女だったのです。
僕は勇者として皆さんをこれからも守っていくつもりです。
ですが…………」
そこまででまた口を閉ざして横にいる華里奈へと微笑みかけて、
「僕は華里奈を一人の男として守りたい。
華里奈、僕と結婚してください!」
告白をした。
これほど人がいるにも関わらず物音ひとつしない完全な静寂の中で、
一人の女の涙が伝う。
「…喜んで♪」
泣きながら最高の笑みでそう答えてくれた華里奈に抱き締めることで返し、
割れんばかりの拍手と祝いの言葉を送ってくる聴衆に軽く頭を下げる。
いやぁ…断られるはずがないと思ってても緊張するな。
まぁ、華里奈の笑顔も見れたことだし、良しとするか。
あ、そうだ。
「皆さん、本日はお付き合いくださりありがとうございました!
これからも夫婦共々よろしくお願いします!」
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