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『皆さんこんばんは、勇者のケント・ヒイラギです。
本日はお越しいただきありがとうございました。
閉館前に1つ重大な発表をさせていただきたいと思います。
お手数ですが、一階ホールにお集まりください』
そこまで言ってから亜子に回線を切ってもらってイスから立ち上がる。
これでまだ残っていた人は集まってくるだろうな。
勇者の重大発表なんて、
今や平和になった国民達にとっては久しぶりの大事だから。
「さてと、華里奈。
聞いてたと思うが、今からホールに行くぞ?」
「う、うん」
戸惑いながらも俺の出した手を握り返してくる華里奈。
あ、因みにホールっていうのは新設した集い場みたいなところだ。
イベントもあそこで行っている。
っと、結構人が集まってるな。
うん、良い感じだ。
「ゆ、勇者様!重大発表とは…」
ホールの一番前の壇上に上ろうとしたら、
誰かにそう声をかけられた。
今から発表するんだから待て…って騎士団長?
…なんでここにいるんだよ、ややこしくならないと良いが。
「少々お待ちください、今説明しますから」
一応全力の愛想笑いで受け流して、
華里奈を後ろの方に立たせてから壇上で人々を見下ろす。
そろそろ良い頃合いかな。
「…皆さん、わざわざお引き留めしてすみません。
まずはお集まりくださいましてありがとうございます。
今回こうして集まっていただいたのには訳がありまして…私事ではありますが、少しの間お付き合いいただけますか?」
そこまで言ってから一旦口を閉じて聴衆の反応を見る。
うん、皆静かに俺の次の一言を待ってるな。
ここまでは大丈夫そうだ。
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