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それから、ゆいは荷物をまとめ始める。
明日からの木、金曜日は俺の家に帰ることになる。
部屋の中を行ったり来たりして慌ただしく荷造りして、最後に冷蔵庫の食材をひとまとめにして準備が出来たようだった。
「行こうか。」
俺がゆいの荷物を持って、二人で部屋を出た。
この夜、
俺はベッドでゆいを抱きしめながら、本心にほんの少しの皮肉を込めて言った。
「ゆいに何かあったら、俺が泣くんだからな。」
そして、まるで割れものでも扱うようにゆいの頬を、髪を力なく撫でた。
そう。
ゆいは俺以外が触れればすぐに壊れる。
壊させない。
触れさせない。
俺は触れるだけの優しいキスをゆいの唇にのせる。
「おやすみ。」
「…おやすみなさい。」
こうやって
一日の最後の言葉を
早く二人の日課にしたい。
俺が今日のこの成り行きを
密かに喜んでると知ったら、
ゆいは…怒るだろうか。
俺はそれをゆいには秘密にして、ゆいの体温を包んで、…包まれて眠った。
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