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「五分……上等だぜ。どの道、命が持つ保証もねぇ。五分で……全員ぶっ殺す。それでパリキスを逃がせ」
ガルンは病んだ笑いを浮かべた。
脂汗が出はじめた顔には、血行のせいか隈が出来ている。
その横でネーブルは大きく嘆息する。
「本当に空気を読めないな、お前? 誰もお前の自己犠牲英雄譚なんか望んでないんだよ。それを求めてんのは姫さんにだけだ」
ネーブルは恫喝するようにパリキスを睨む。
パリキスはそれを無言で受け止めた。
「あんたが死ぬば、この場は全て丸く収まるんだ。あんたもそれを理解しているだろ? これは全員の総意だよ」
それを肯定するように、周りの兵士達の視線がパリキスに集中する。
まるで汚らしい汚物を見るような視線は、城でも受け続けた視線だ。
忌み子の姫として。
「ざけんな……。何が総意だ。ここにはパリキスを守る為に戦ってきた連中がいる。それを全て踏みにじるきか……!」
ガルンの熱い視線を、されどクライハルトは冷淡な視線で見つめ返す。
「何か盛り上がってるけどさ。皆の意見が聞きたいなら、ボクチンが協力してあげるよ!」
唐突にデブの冥魔族が叫ぶ。
すると、立ち並んだオブジェの顔の拘束が解け出した。
「……?!」
オブジェと化した、全員から苦痛のうめき声が漏れ出す。
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