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終章 月の無い空に世界蛇は哭く 終詞“壊れた修羅と清いなる姫”
ただ、近づく巨大な餓鬼を数体切り崩しただけだ。
「……速いな」
ガルンは飄然とそれを見送る。
迫り来る餓鬼はお構い無しだ。
「こうなってはお前に賭けるしかない。サポートは俺がする」
後方で告げるクライハルトを、ガルンは軽く無視する。
今となっては全域、敵しか存在していないと考えているからだ。
ある一定距離に餓鬼達が近づくと、黒い炎がそれを迎え撃つ。
それは意図もあっさり餓鬼達に触れると、呆気なく餓鬼達を燃え散らかした。
まるで紙人形を焼き払う容易さだ。
それを横目に、ギネマリの両腕に碧い光が凝縮する。
ガルンの後方に回り込んでから、碧い電撃を撃ち放った。
それを読んでいたかの様に、黒い炎がそれを迎え撃つ。
碧い電撃は黒い炎に吸収されるように、一瞬で飲み込まれるように消え去った。
「……?!」
驚きに目を見開く。
電撃の速度は人間が反応出来る速度では無い。
明らかに炎は自律行動しているように見える。
「何びびってんだギネマリ! 近づいてデカイのかませばいいだけさ」
「相手の射程には有効範囲があると見た」
ガルンに向かって、ブレイローとテスペレントも近づいて来る。
それを見てクライハルトは腕を翳した。
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