ままにならぬが浮世の常

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その日の夜、くっついたなら二人で飲みにいけばいいものを、どういうわけか私達はまだ4人だった。 けれども、居酒屋の個室、いつもは私の隣には相田先輩だったのが今日は間宮で。 これからも4人で会うことがあれば、おそらくこれが今後の立ち位置なのだ。 「さやかちゃん、いつも倉本のこと褒めてるよ」 先輩がお手洗いに立った時、向かいの矢野さんがにこにこと笑いながらそんなことを言った。 アルコールなのか照れなのか、ほんのり頬が赤い。 ってか、今日付き合い始めてもう名前呼びなんだ。 奥手そうに見えて案外やるではないか。 と、脳内ででもおちゃらけてないと。 やってられない。 「美人なのに少しも鼻にかけてなくて、いつでも笑顔で頑張ってくれるから一緒に働いてて気持ちが良いって」 「もう、先輩が褒めすぎなんです。真に受けないでくださいよ」 「いや本音みたいだったよ。えらいなー」 「子供扱いしないでくださいっ」 言いながら、本当はそんなやり取りも大好きだ。 相手が先輩じゃなかったら、遠慮なく略奪しようと思ったかもしれない。 できない。 相田先輩のことも、私は尊敬してるし憧れだった。
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