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いくら衛くんの友人とはいえ知らない男の人と狭い車内に2人きり。
緊張というか自然と身体が強張ってしまう。
会話だって何をしたらいいのか分からない。
ラジオも何のBGMもない車内には重い沈黙が続くだけで、居たたまれなさを感じてしまう。
真っ直ぐ前を見たまま、こちらを見ない男の横顔をチラリと盗み見てみる。
―――あ、格好良い……
暗闇で分からなかったが、時折、照らすヘッドライトの明里に浮かび上がった、その横顔に思わず見とれてしまった。
それにしても衛くんに、こんな友人が居たなんて知らなかった。
昔からどことなく、人を寄せ付けないような雰囲気を持っている子だった。
いつも見えない壁みたいなものがあって、常に一定の距離を取っている感じがしていた。
だから優弥に衛くんがバーテンダーをやっていると聞いた時、すごく驚いた。
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