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「サヨは、サヨだけの為に離婚したって言ったけど、それでもいい。」
ぎゅっと、抱き締めてくる。
「少しでも、俺のことを想ってくれているなら、もう一度、やり直してもらいたい。」
心がぎゅっと、締め付けられる。
「…ヨシ。」
「あの日、サヨと別れなければって、何度も後悔した。こうやって、サヨを抱き締めれば良かったって、何度も思った。
…だからもう、後悔したくない。」
熱い吐息が顔にかかる。
彼の生命を感じる。
「お願いだから。
もう一度、そばにいてくれないか?」
懇願する彼。
わたしの気持ちは、揺らぐ。
―――固い決意…だった筈なのに。
「サヨ。
俺には、お前しかいないんだよ。」
―――独りで歩もう…って決めた筈なのに。
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