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あの時も、こうやって、抱き締めて欲しかったんだ。
「やっぱり、ね。」
そして、わたしも、こうやって、抱き締めたかったんだ。
「わたしも…やっぱり、あなたと一緒にいたい。」
「サヨ…。」
わたしを強く抱く彼。
―――本当は、分かっていた。
彼の温もりを感じるわたし。
―――わたしも、彼を必要としてるってこと。
その想いに目を背けようとしていた。
だって、もう、傷付くのは、嫌だったから。
期待して、裏切られるのは、もう、嫌だったから。
もう、恋なんて二度としないって思っていたけど。
「サヨ、もう二度と、離さない。」
彼の言葉が、冷たく閉ざされていた心を開く。
彼の唇が、わたしの頬を伝う。
熱い呼吸、温かい肌。
わたし達は、再び、唇を重ねた。
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