―終章―

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 失ってはならないものがそこにある。だからこそ、天吾の忠告は有難かった。決して気を抜かない。断じて仲間を燃やしたりなどしない。この力は、守る力。自分の手の届く範囲で、守りたい人を守る力。――大介は、そう信じている。 「よっしゃ、告白タイムだ」 「えっ!? 皆の前でというのはちょっと恥ずかしいね。恥ずかしいな。恥ずかしいです!」 「それは村雲の口癖だろ。ほら、バシッと決めてこい!」  背中を叩かれたシャギーは、やってやろうと男を見せることを決意する。斜面を上り一同の元へ向かうと、照子もシャギーの方へと歩み寄ってきた。夕日の照らすオレンジ色の河川敷で、シャギーと照子が向かい合う。 「あのっ」先に口を開いたのは照子。「こっ、こここここれを受け取ってくださいっ!」  差し出されたのは、くしゃくしゃの紙。雨に濡れて読めなくなってしまったラブレター。シャギーはそれを受け取り首を捻る。 「これは何かな?」 「わからなくていいんです。渡したかっただけですから」  恥ずかしさを我慢して何とか渡し切った照子は、赤くなっている顔を手で覆いながらシャギーの前を去る。  呼び止めようとした。だが、緊張からか急激に喉が渇き言葉が出てこない。また今度にしようかとシャギーは思う。――そんなことでは、いつまで経っても告白などできるわけがない。 「照子っ!」  名前を呼ばれた照子は、真っ赤な顔で振り返り驚いた様子を見せている。  急展開に女子達はキャッキャと騒ぎ出し、男子達はニヤついている。友人達に見守られながら、シャギーは意を決して口を開く。 「聞いてほしいことがあるんだ!」  淡く青い恋心を、恥ずかしげもなくぶち撒ける。  それが、一生の内で今しかない青春であるのだ。 「僕はキミのことが……すっ、好」 「恥ずかしいですぅぅぅぅぅっ!」  告白少年落下。大方、予想通りのオチであった。 「駄目だよテルちゃん! 我慢してっ!」 「無理ですぅ! 恥ずかしいですっ!」 「ぐっ、何のこれしき!」  シャギーの決意は、一度穴に落とされたくらいでは変わらない。自力で這い出た彼は、再び告白を試みる。
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