四の焦点 #2

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四の焦点 #2

地下通路も白い簡素な通路で構築されていた。 人が足を踏み入れるだけで、ウィルオーウイプス型と呼ばれる光の人工精霊が勝手に道を照らす。 隠密侵入行動には一番の難敵かも知れない。 レーヴェはそれを無視して先に進み出した。 どのみち、見つかる時は見つかる時だと割り切る所は、大胆なのか面倒臭がっているのか分からない所だ。 数々の魔術防衛網で括られている筈の地下施設は、何故か“内側から”道を開けられていたかのように障害が一部のルートだけ開放されていた。 ( 何だろうこの違和感は……?) レーヴェの脳裏に一瞬悪意に満ちた、笑いを浮かべる道化師の姿が浮かんだように感じた。 頭を振ってそのイメージを払拭する。 踊らされるのには慣らされた気がするが、ただ踊らさていれるのは癪に障るばかりだ。 (とにかく! この訳の分からない状況を何とかする!) レーヴェは自分自身に言い聞かせるように心の中で呟いた。 通路を抜け、階段を三フロアーばかり降りた所に目的の場所はあった。 臨時保管庫である。 ここは発掘された古代遺物や、魔術器具、魔獣などを一時保管し、有用性や危険度を推し量るまでの借宿だ。 魔道器デルエペラは、それ自体がインテリジェンス・アパレイタス【知性を持つ器具】と呼ばれる特殊な古代遺産に位置する。
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