611人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
優は口元を緩めながら、着ぐるみを脱がせた。私はそのままベッドの上に座る。
甘い薔薇の香りに包まれた花の妖精を、吸血鬼が容赦なく襲った。
「やだぁ、優」
「吸血鬼に襲われるって、どんな気分?」
「クリスマスに吸血鬼はナイね」
「だよな、守本のヤツ覚えてろよ」
文句を言いながら、優はチュッと私にキスを落とした。
ベッド脇にあった薔薇の花を手で摘み、優が私に差し出した。
真紅の薔薇。
顔を近付け、甘い香りを吸い込む。
「…あれ?」
鼻先にあたる、ちょっと冷たい感触。花びらの中を覗くとキラリと何かが光った。
最初のコメントを投稿しよう!