377人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「来週は文化祭かあ。
…早いよねえ」
駅の改札をくぐりながら、
彩加はしみじみと言った。
「3学期はほとんど自由登校だから、
ホントにあと少しなんだね、
学校に通えるのも」
「…そうだね…」
来週に迫った
放送部の引退にさえ
実感が湧いていないわたしは、
卒業という大きな別れを、
うまく想像することさえ
出来そうになかった。
「卒業したら、…みんな
バラバラになっちゃうね」
「…うん…」
わたしたちは何となく
重い気持ちになって、
ホームに続く階段を
並んで上がった。
登りきったところで、
彩加がぴたりと足を止め、
目を見開いた。
最初のコメントを投稿しよう!