結:結ぶ恋(続き)

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 「刻也、さん……」  「ムカつく、めちゃくちゃ」  射るように私を見つめる瞳が、力が強すぎて逸らしたくなる。  私はそれでも逸らせずに彼を見つめ返した。  「いいです、遠回りでも。また出会えたから。だから、今度は……捕まえて、くれますか?」  私が不安げにそう尋ねると、刻也さんは目を見開いて固まった後、思い切りため息を吐いたかと思ったら肩を落とした。  それはもう、ガックリって聞こえてきそうなくらいに。  「あのな、萌優」  「はい」  尋ねたことに肩を落とされた私は、少し落ち込みを隠せない。  小さいけれど『はい』と返事をしたのに、刻也さんはどうも不満そうだ。  「どうしてお前は昔からそういう台詞を先に言うかなぁ……」  「へ?」  「いや、何でもない――とりあえず、俺もイイトコみせたいんだが」  「イイトコ、ですか?」  「あぁ」  眉尻を下げてそう漏らす彼が可愛くて思わず笑いそうになる。  けれど、どうやら私は彼のイイトコを奪ったらしいから。  これは反省しなくちゃいけない。  きゅっと笑わぬように力を入れて、彼を見つめると少しばかり硬い表情を浮かべて告げられた。  「江藤萌優さん、俺の彼女になっていただけませんか?」  んんっ、と咳払いをしてから告げられたソレは、あまりにも恥ずかしくて、あまりにも嬉しすぎて。  私は声を失ってしまった。  感無量って言葉がピッタリなくらい、刻也さんの言葉で胸いっぱいになっていると、全く言葉が出ずに私はただ黙っていた。  「コラ、返事しろ。恥ずかしいだろ真面目に言ったのに」  「ひゃぅっ、は、はいぃっ!」  ぽかりと軽く頭を小突かれて我に返る。  目の前の彼は、そんな私を見て苦笑していた。  「んとにお前は……」  申し訳ないと思いながらも、信じられなくて浮かれる気持ちでアワアワしながら確認する。
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