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「あの…」 「…え?」 わたしは少し迷いながら、 遠慮がちに切りだした。 「先生が高校生の頃、 事故に遭ったって 聞いたんですけど――。 芝田さん、そのこと、 ご存じなんですよね」 芝田さんの表情が、 少し硬くなったのが分かる。 わたしは慌てて、 「いえ、そんな、先生の プライバシーに関わること、 聞くつもりじゃなくて。 …ただ…。 その時、一緒に入院した クラスメイトがいたって、 先生から聞いて…。 その方はどうなったのかなって、 気になって…。 先生には、ちょっと 聞きづらかったから…」 「…そう…」 芝田さんは、わたしの顔を じっと見つめた。 「もしかして、椎名さんは、 …春山くんの、特別な存在なの?」 「えっ…」 わたしは首を思い切り横に振った。
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