10 #2

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夏が終わった頃だった。 先生は少しも表情を崩さず話し終えた。 俺は腹立たしさ以外の何も浮かばなかった。 じゃあ、なんだ? 自分のしたことには罪が無いっていうことか? 少なくとも新城彩愛を傷付けたことは真実だ。 新城彩愛は真剣だった。 俺が先生と寝ていたのか?と問いただしたとき彼女は泣きながら好きなんだと告白した。 彼女は知ってるのだろうか? 俺はやっぱり大嫌いだ。 先生が大嫌いだ。 先生の才能が憎い。 あの才能が無ければ――…。 もし、母さんがここを紹介しなければ。 もっと俺が父さんと話し合えて言えば。 あの場面を見なければ。 これが絶望なんだと思う。 これから俺は描く。
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