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「ワイズマン?なんだそれ?」
「ラボの図書館にいるゴーレムだ……あの場にはいなかったと思うんだがな、アンタ」
『私はそういった存在ではありませんので……私は云わば視線とも言えましょうな、感じませんでしたか?頭にカブトムシを乗せられるのも見てましたよ』
サークル中央から更に前へ、穴宮の手前
サークルの縁までくるとフッと出現したゴテゴテ装飾の椅子に座る、組んだ足の先がサークルの内と外ギリギリの所で揺れる
「ワイズマンの制作者か?」
『いいえ……彼は相当な昔に作成されているようですが……まぁ彼の視線に紛れ込むといいますか、少々手を加えさせて戴いております、私……ゴーレムに関しては些か自信がありましてね』
「…………アンタ、ヴェルダン伯爵か?」
『いかにも、私がヴェルダン伯爵です』
本の作者に出会った経験はないがなるほどと穴宮は思う、文章に性格が滲み出るのだろう、面倒そうな男
正体不明ながら路地裏の神の噂は聞いたことがある、つまり力ある人物だ
ホログラフだからと言っても油断は出来ない、このサークルが恐らく境界線の役割を果たしているのだろう
「ホムンクルスの事を毛嫌いしているようだが……それに付いてもある程度の知識はあるのだな?使える情報が欲しい、オカルティックな作り方はウンザリだ」
『そうですね、もう少し具体的な話が良いなら……ある男について……スキルを盗むスキル保持者についてです』
「盗む?」
ジョナ3 リヴィングストンの話ではスキルを食うという話だった
だが確かに喰ったスキルを使用出来るならば盗むと言っても間違いではないだろう
『そのスキル保持者は何故か「盗む」という言葉に過剰な反応を示しまして、本人は「食う」と……大して変わりありませんけどね……』
「会ったことあるのか?そのスキルはホムンクルスのじゃないのか?」
『順を追って説明致します、飲み物でも?先程の者に持ってこさせますが?』
穴宮はもう飲み物は必要ないと首を振り、ルーは何故かいつも奴等が出す飲み物はグツグツ煮だっている為に遠慮した
気付かずウッカリ口を着けよう物なら叫ぶ羽目になるのだ
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