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「クリスマスどうする?」
「え?」
西門くんの言葉に再び沈んでいた意識が現実に呼び戻される。
西門くんはテーブルに頬杖をついて少し顔を傾けた。
「一緒に過ごそう。イブとか予定ある?」
「な、ない」
「じゃあ決まり。何かしたいこととか行きたいところある?」
「えっと、映画観たり、イルミネーション見たりしたい、かな?」
「わかった」
にっこり笑って私の提案を受け入れてくれる。
まさに絵に描いたような理想の彼氏。
西門くんならもっと可愛い女の子と付き合えるはずなのに。
どうして私を選んでくれたのだろうか?
「西門くんは......その、どうして私と付き合おうと思ったの?」
私の唐突とも言える問いかけに、さすがの西門くんも驚いたらしくて瞠目する。
もしかして『私のどこが好きなの?』みたいな高飛車な質問に聞こえたのかもしれない。
「ほ、ほら、私ってどこにでもいそうな普通の女だし」
慌ててそういう意味合いではないと言葉を補った。
自分で言うのも情けないけど、本当に平々凡々の容姿。
だからいまいち、西門くんと付き合っていることが不思議に思えてしまう。
西門くんは眼鏡の奥の瞳をふっと緩ませた。
「そうだね。その答えはデートの時に言うよ」
とだけ言って、そのまま答えてくれなかった。
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