「俺に、撮らせて。」

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「俺に、撮らせて。」

「っはあ、はあ、はあ、あー、しつけえなあ・・・・!」 相川流依・アイカワルイ、15歳、現在全速力で逃走中。 6月21日月曜日。 朝8時16分。 学校を取り囲むフェンス沿いを先程からぐるぐると逃げ惑っております。 ちなみに始業は朝8時30分。 「くっそ!」 狭い路地を抜けてパッと左に方向を変えた。 それが間違いだった。 「やっべ、フェンス!」 あろうことか、自分の学校のフェンスに足止めをくらってしまった。 ―――しょーがない。 私を追ってきているのは3人の男だ。 3人くらいなら集中すればギリギリ・・・・・・ 隙をついてフェンスをよじ登れば、なんとか・・・・ そう思案していると、 「うわあああああっ」 ずだだだだだだっ 物凄い勢いでこちらに駆けてくる音がする。 でも、私を追ってきた男達の声とは違う。 私が緊張して待ち構えていると、私が抜けた路地とは違う路地から、私の通う高校の制服を着た男が、ばっと飛び出した。 私に気が付いて、一瞬気を取られた様で、後ろから聞こえる「待てええええええええ」という低い声に驚き、思わず私の居る方向に曲がってきた。 「うぎゃああああ」 涙目で物凄い声をあげている。 そしてフェンスに気が付き、慌てて止まった。 フェンスにがしゃん、と手を置いて、しばらく呆然と親しみあるわが高校のグラウンドをフェンス越しに眺める。 そしてこちらに顔を向け、情けない声を出した。 「・・・・・・・マジ?」 「マジ。」
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