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「ああ、お母さん? うん、今年はカレンダーがいいから、お正月には戻るね。えっ、クリスマスに彼氏? そんなのいるわけないじゃん。じゃ、切るよ、お正月にね」
通話を切ると、わたしはベッドに突っ伏した。
全くお母さんは……その話題が嫌だから、実家に帰らないのに。
わたし、早川 憩(はやかわ いこい)27歳、独身。
目下、彼氏募集中。
現在、クリスマスの予定、全くなし。
わたしは、重く感じる体を無理矢理起こすとテレビをつけた。
朝の番組が明日のクリスマス・イブの話題で盛り上がっている。
ふん、どうせお独り様だよ。
三連休も家に引きこもってたよ。
悪態をつきながら、ふと職場の後輩の藁梨(わらなし)君の顔が浮かぶ。
わたしより2つも年下で、入社3年目。
入社時はわたしが指導係で面倒を見た後輩だ。
べ、別にあんな奴、関係ないし……。
わたしが頭の中で彼の存在を全否定していると、来客を告げるインターホンが鳴った。
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