腐男子くん、来る

9/24
178人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
ゆらゆらと相手が離れたのを確認してからズボンを上げる。 チャラ男を演出するためにベルトゆるめてたのが裏目に出たな… 「わ、悪い…その…」 振りかえるとみーくんはもじもじしていた。 「思ってたより腰細くて…そ、それに優真いいにおいがするんだな!」 どうしたのだろう、頭のどこかでも打ったのだろうか。 白い目で見るが、みーくんは腕に絡み付いて嬉しそうに話す。 「それに…ちょっと興奮した!」 なんてことを、言う。 「冗談はやめてよぉ」 はは、と平生を装い、乾いた笑いを漏らす。 心の中はものすごく動揺していた。 当たり前だ、こんなこと言われたのは初めてで。 チャラ男になりきっているはずなのに、どう反応したらいいのか分からない。 「優真!!」 ぐるぐると考えていると、名前を呼ばれ、ふいに自分が反応してしまったのがわかった。 みーくんは俺の頬をそっと両手でつつみ、背伸びをしてくる。 そしてなぜか、近づいてくる。 異様なほど近づいてきてーー 「え、ちょっ…! ん…っ!」 不意討ちのキスをしてみせた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!