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ふと時計に目を向けると、現在時刻は1時を少し過ぎたところ。
私はため息混じりに、道場のガラス戸の外に目を向けた。
「たまちゃん!
来てよ、次僕の番でしょ?」
「あ、ごめん、お待たせ!」
私は視線をカズくんに戻すと、駒を盤上に並べ出した。
その時、パチンパチンというこの空間独特の音に混じって、扉の開く鈍い音がした。
日曜日のこの時間……。
それは彼が来たという合図だ。
「おぉ、来たか!今日は負けないぞ」
彼に気付き、常連さんも大きく笑う。
(やっぱり、今日も来たか……)
私は内心ぼやくと、最後の駒を並べたカズくんに向かって、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
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