第1話

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   人間って、不思議だ。  知らないのに、なぜか本能のようなもので判る。  咬みついたりするような能動的なことは、ぜんぶ真田に任せてしまえばいい。  あたしはただ、触れ合わせ、拒否をしないで真田のすることを自分の精一杯で受け入れるだけ。  真田の黒い目が覗き込んでくる気配がする。  心臓は痛いけど、あたしはうっすらと目を開けて、真田のそれを見つめ返す。  好きだよ、と言葉にできない思いを込めて、強く、強く。 「──お前」  真田が、感心したようにあたしの口の中に息を落とす。 「……マジで、クセになりそう……」  先のことなんて、知らない。  ただ、あたしは真田が欲しい。 .
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