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人間って、不思議だ。
知らないのに、なぜか本能のようなもので判る。
咬みついたりするような能動的なことは、ぜんぶ真田に任せてしまえばいい。
あたしはただ、触れ合わせ、拒否をしないで真田のすることを自分の精一杯で受け入れるだけ。
真田の黒い目が覗き込んでくる気配がする。
心臓は痛いけど、あたしはうっすらと目を開けて、真田のそれを見つめ返す。
好きだよ、と言葉にできない思いを込めて、強く、強く。
「──お前」
真田が、感心したようにあたしの口の中に息を落とす。
「……マジで、クセになりそう……」
先のことなんて、知らない。
ただ、あたしは真田が欲しい。
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