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「悪かったねえ。肺炎起こし掛けて念のため入院したんだよ。危篤は嘘」
「オバサン……はあ」
和也はヘナヘナと床に座り込んだ。小さい頃から変わらない、和也の熱い(暑い?)性格。友達思いで真っ直ぐで(単純)で。
「ぷっ……」
「笑うな、クソっ!」
オバサンは和也の手を取り、引き上げて立たせた。
「オバサンひでーっすよ」
「和也くんにも言えば千鶴ちゃんを連れてきてくれると思ってね。そしたら千鶴ちゃんタクシーで来ちゃって」
「タクシー……?」
和也は目をまん丸にした。
「幾らしたんだよ」
「3万円でお釣りは来たかな」
「このデレスケが……」
「だって美穂が危篤って聞いたら」
「人のこと笑えるクチかよっ」
「そうだね」
2人でスヤスヤと眠る美穂の顔を見る。
「帰るぞ」
「え?」
「乗せてやるって言ってんだよっ!」
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