19*あの素晴らしい恋をもう一度

6/14
1348人が本棚に入れています
本棚に追加
/262ページ
「悪かったねえ。肺炎起こし掛けて念のため入院したんだよ。危篤は嘘」 「オバサン……はあ」  和也はヘナヘナと床に座り込んだ。小さい頃から変わらない、和也の熱い(暑い?)性格。友達思いで真っ直ぐで(単純)で。 「ぷっ……」 「笑うな、クソっ!」  オバサンは和也の手を取り、引き上げて立たせた。 「オバサンひでーっすよ」 「和也くんにも言えば千鶴ちゃんを連れてきてくれると思ってね。そしたら千鶴ちゃんタクシーで来ちゃって」 「タクシー……?」  和也は目をまん丸にした。 「幾らしたんだよ」 「3万円でお釣りは来たかな」 「このデレスケが……」 「だって美穂が危篤って聞いたら」 「人のこと笑えるクチかよっ」 「そうだね」  2人でスヤスヤと眠る美穂の顔を見る。 「帰るぞ」 「え?」 「乗せてやるって言ってんだよっ!」
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!