第01章 逢[あい]

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─────大気はビリビリと張り詰めた。 巻き起こる火炎の渦は、直撃でなくても肌を焦がす。 しかし近距離で放った火炎はあっさりと真っ二つにされ、返す刀がバックステップでかわす鼻先をかすめた。 左手をクイと曲げると、暴風が吹き荒れるが、しかし相手は文字通りどこ吹く風だ。 風の勢いで相手の肩当てが外れ、六文銭の刺青が姿を現す。 (これで本気の……6割程度か?) 舌をペロリと出した相手の口元は、笑いを隠しきれないでいた。無邪気な子供の様に、明らかに戦闘を楽しんでいる。 「っっっしゃあッ!」 流れる様に無駄の無い動きから剣が振り下ろされるが、そこへ右手の炎で待ち構える。しかし相手も剣を振り下ろしながらも体を倒して器用に避ける。 ─────右手の炎はフェイク。 相手の避けた方向には、左手の土塊が待ち構えている。それを見事に相手の腹部へ直撃させると、追撃態勢を取る。しかしそこで違和感を感じた。
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