115.別たれた希望 北の大地を目指して 

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新選組の中で二分した隊。 斎藤さんと共に会津に残ったもの。 土方さんと共に、現在の山形県を目指したもの。 それぞれの思いを抱きながら、別れはしたものの、それぞれの希望を抱いた旅立ちになった。 庄内藩までの道程は、私たちにとって優しいものではなかった。 庄内藩に辿り着くには、その経路として米沢藩を通行する必要があった。 でもこの時、すでに米沢藩は新政府軍に恭順の意を示していたため、 領内を通ることは認められず足止め。 そんな中、庄内藩士の銃隊頭・服部十郎右衛門さんと言う方に出会った私たちは、 松本良順先生たちと合流して奥羽列藩同盟の公儀府がある白石(宮城県白石市)へと向かい、 榎本武揚さん率いる旧幕府軍の仙台入港を知り仙台で榎本さんと合流すると、 その場所から更に私たちだけ北を目指すことになる。 開陽丸をはじめとする8艦の戦艦に飲み込んだ旧幕府軍に関係する人たちは 北へ、北へと自分たちの居場所を求めるように目指し続ける。 その辿り着く先を知りながら、 私はまた悲惨な時間の始まりに覚悟するように、 戦艦の甲板に立ち、冷たい風を頬に受けながら大海原を見つめ続けた。      
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